【人見知りとは、心理学的にはどのように定義されるのですか?】
まず、人見知りをする人が日本人の成人のうち56%いるというように、精神医学的に異常かどうかというのではなく、大半は持っていて当たり前と捉えていただいてOKです。人見知りに限った問題ではありませんが、心の問題はおおよそ、「偏り過ぎた」部分があることが原因であり、偏りを調整して、生きやすいように僕ら医者はカウンセリングや治療を行っています。
【見知りの対象は誰でも同じなのですか?】
私たちはあらゆる人に人見知りをしているわけではありません。
私たちは無意識に、他者を「ウチ」とそれ以外(「ソト」「ヨソ」)と分けています。一番苦手なのは中間(ソト)と言われています。
親友と呼べるほどでもない友人や近所のおばちゃん、会社でそれほど仲良くない人などの存在がソトであり、意識してしまう対象と言われています。【先生でも人見知りすることってありますか?】
僕はもとから人見知りをしない質だから、野生の中では真っ先にやられてしまうタイプ(笑)。
逆に無鉄砲なところもありました。それを修正しないといけないと思う経験があり、歳を重ねるにつれ慎重さも持てるようになりました。
なぜこの話をするのかというと、経験や勉強の結果、自分を修正できることをお伝えしたかったからです。
人は、生まれつきある程度「気質」を持っています。
しかし、人のパーソナリティー(個性)は、気質だけで決定するわけではありません。後天的に、どんな経験や勉強をしたかが加味されて「性格」ができ、「人 格」ができていくのです。古い定説では、性格は変わらないとされてきましたが、今は、経験によっていくつになっても変わっていくことができるとされていま す。現代の発達心理学では、70代、80代の人も対象とされているんですよ。
だから、人見知りをしない人でも気質は内向的な人だっている。様々な経験を乗り越えて、なりたい自分になることができる。
人はいくつになっても発達し続けると言われています。
【では、初対面の人とも話せるようになるにはどうすればよいでしょうか?】
僕らは臨床の時に患者さんと一緒に「スモールステップ」を作ることが多いです。これを、初対面の人との小さな成功体験を積み重ねていけば、自信もつきます。
<スモールステップの作り方>
(1)不安要素を書き出す。
(2)書き出した不安要素を見比べて、不安の程度を100点満点でつける
(3)点数の低い順に並び替える
(4)まずは1つ目の目標を達成できるよう努める
気をつけたいのは、できなかったからと言って落ち込みすぎないことです。
続けるコツは、伴走者を見つけることです。家族や友達、または同じように悩んでいる仲間に自分の状況を話し、背中を押してもらえる状況があるといいですね。
また、荒治療ではありますが、スモールステップの順番をあえて無視して、大きな課題を達成するというのも手です。いきなり大勢の前で発表せざるを得ない機会があったとしても、成功すればそれは大きな自信につながります。
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